ビジネスシーンで頻繁に使われる「出張伺い」ですが、適切に書けているか自信はありますか?
この記事では、出張伺いの目的やフォーマットの基本から、実際に使える例文、メールでの依頼方法、さらには承認を得やすくするためのコツまでを網羅的に解説します。
これ一つで「出張伺い」作成の不安を完全解消!
例文付きで、すぐに実務で活かせる情報をお届けします。
目次
例文の前に!出張伺いの重要性と基本知識
出張伺いとは?その目的と役割
出張伺いとは、業務上の出張を予定している社員が、事前に上司や関係部署に出張の目的・期間・行先などを報告し、許可を得るために提出する文書です。
企業によっては稟議書の一部として扱われる場合もありますが、主に内部承認プロセスにおいて必要とされるビジネス文書のひとつです。
業務の透明性と出張に伴うコストの適正化を図るうえで不可欠な役割を果たします。
出張伺いがビジネスで果たす役割
出張伺いは、単なる報告書ではありません。
会社にとって以下のような重要な意味を持っています。
- 出張の妥当性や必要性の判断材料となる
- 業務スケジュールや社内人員配置の調整を円滑にする
- 出張経費の予算計上・管理に役立つ
- 不正出張や不正経費申請の抑止力となる
出張伺いに関する一般的な書式とフォーマット
出張伺いには特定の法的様式はありませんが、一般的には以下のようなフォーマットが多くの企業で使われています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出日 | 出張伺いを提出した日付 |
| 所属・氏名 | 出張する社員の部署名と名前 |
| 出張日程 | 出発日と帰社日 |
| 目的地 | 出張先の地域や企業名 |
| 出張目的 | 商談、会議、現地視察など |
| 同行者 | ある場合はその氏名と所属 |
| 予算・経費 | 交通費、宿泊費、日当などの見積もり |
出張伺いの書き方の基本的な流れ
出張伺いを作成する際の基本的な手順は以下の通りです。
- 出張内容(目的・日時・場所)を整理
- 企業のフォーマットに沿って必要事項を記入
- 承認者に提出し、押印または電子承認を受ける
- 出張後は報告書・経費精算などの処理へと続ける
これらのプロセスを丁寧に行うことで、社内での信頼性や業務の効率化にも繋がります。
出張申請と伺い書の違い
出張申請と出張伺いは似ていますが、役割に違いがあります。
| 種類 | 目的 | 提出タイミング |
|---|---|---|
| 出張申請 | 社内制度上の正式な出張申請 | 出張前(制度的に必要) |
| 出張伺い | 出張の内容や理由を上司に伺う | 出張前(承認を得るため) |
中小企業では出張申請と伺い書が一体化していることもありますが、形式を分けることでチェック体制が明確になります。
そのため、使い分けや両者の理解を深めておくことが大切です。
出張伺いの書き方完全ガイド

出張伺いを書く際の基本項目
出張伺いは、社内の承認を得るための重要な文書です。
以下の基本項目を正確に記載することが信頼につながります。
- 提出日
- 氏名・所属部署
- 出張の目的
- 出張期間(出発日と帰社日)
- 出張先(企業名・場所)
- 同行者(いる場合のみ)
- 予想経費の概要(交通費・宿泊費など)
- 備考(緊急連絡先など)
テンプレートを活用した出張伺いの作成
以下は、実務でそのまま使える出張伺いのテンプレートです。
社内フォーマットがない場合は、この例をカスタマイズして活用できます。
提出日:2025年7月30日
所属部署:営業部
氏名:山田太郎
出張目的:新規取引先との商談および契約締結のため
出張期間:2025年8月5日~2025年8月6日
出張先:株式会社〇〇(東京都港区)
同行者:田中一郎(営業部)
予想経費:
・交通費(新幹線往復):¥28,000
・宿泊費(1泊):¥12,000
・日当:¥4,000
備考:緊急連絡は携帯(090-xxxx-xxxx)へお願いします。
以上、出張につきご承認のほどよろしくお願い申し上げます。
出張伺いを書く際に注意すべきポイント
出張伺いを書く際は、単に情報を羅列するだけでなく、読み手への配慮とビジネス文書としての整合性が求められます。
- 出張の必要性を明確に記す
- 具体的な訪問先・担当者を記載する
- 費用はできる限り詳細に記載する
- 敬語・丁寧語を正しく使う
- 会社のルールや規定に従って記載する
出張伺いの依頼メール作成ガイド
書面提出だけでなく、メールで上司に出張伺いを送る場面も増えています。
その際は、簡潔・明確に情報を伝えることが重要です。以下の構成を参考にすると効果的です。
- 件名で用件を明示する(例:「出張伺いのご確認」)
- 本文冒頭で目的と期間を伝える
- 本文中で出張先・同行者・予算を簡潔に記す
- 承認依頼の文言で締めくくる
メールの件名と内容の具体例
以下に、出張伺いの依頼メール例を紹介します。
必要に応じて自社のルールに合わせてご活用ください。
本文:
〇〇部長
お疲れ様です。営業部の山田です。
8月5日~6日にかけて、株式会社〇〇との商談・契約締結のため、出張を予定しております。
詳細は以下の通りです。
【出張概要】
目的:新規取引先との商談および契約締結
場所:株式会社〇〇(東京都港区)
同行者:田中一郎(営業部)
予想経費:交通費¥28,000、宿泊費¥12,000、日当¥4,000
出張伺い書を添付しておりますので、ご確認・ご承認のほどよろしくお願い申し上げます。
営業部 山田太郎
出張伺いの文例紹介

出張伺いの例文:基本形
最も一般的な出張伺いの文例をご紹介します。
商談や会議など、ビジネス目的での出張に幅広く活用できます。
提出日:2025年7月30日
所属:営業部
氏名:佐藤健太
出張目的:得意先との商談および製品提案
出張期間:2025年8月8日~2025年8月9日
出張先:株式会社ネクスト(名古屋市中村区)
同行者:なし
予算見積:
・交通費(新幹線往復):¥25,000
・宿泊費(1泊):¥10,000
・日当:¥3,000
備考:出張中の連絡は携帯(080-xxxx-xxxx)までお願いいたします。
ご確認の上、承認をお願い申し上げます。
特別なケース:不在の場合の出張伺い
部内の業務に支障が出る可能性がある場合には、不在中の対応についても記載しておくと配慮が伝わります。
提出日:2025年7月30日
所属:企画部
氏名:田村美咲
出張目的:東京本社での全社プロジェクト打合せ出席
出張期間:2025年8月7日(終日)
出張先:本社(東京都千代田区)
同行者:なし
予算見積:交通費(往復):¥6,000
備考:出張当日の部内対応については、鈴木主任に引き継ぎ済みです。
不在によるご不便をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。
目的別の出張伺い文例
出張の目的によって表現や構成が変わることがあります。
以下に代表的な目的別の文例を紹介します。
| 目的 | 出張伺いの一文例 |
|---|---|
| 商談 | 新製品の提案および契約更新に関する商談を実施いたします。 |
| 視察 | 新設工場の設備確認および現地責任者との打合せのため出張いたします。 |
| 展示会 | 業界展示会「〇〇フェア」視察および販路拡大の情報収集のため。 |
| 研修 | 新任管理職研修受講のため、指定会場へ出張いたします。 |
成功事例:出張伺いによる成果の報告
承認された出張が成果を挙げた場合、報告書とあわせて振り返ることで信頼の蓄積につながります。
以下は、その成果を伝える例文です。
また、新製品の導入提案に前向きな反応をいただき、今後の受注拡大が見込まれます。
ご承認いただいたおかげで、成果を残すことができましたことを、心より御礼申し上げます。
このような成果報告を出張後に付け加えることで、次回の伺いの承認がスムーズになる可能性が高まります。
出張伺いをより効果的にするためのポイント
相手への気遣いを示す文書の書き方
出張伺いは単なる業務連絡ではなく、相手への配慮やマナーが問われるビジネス文書です。
承認者がスムーズに内容を把握し、判断できるような「読みやすさ」と「気遣いの文言」が重要です。
- 挨拶文で始める(例:お忙しいところ恐縮ですが)
- 目的や背景を簡潔に伝える
- 相手に対する配慮(不在中の対応体制など)を明記する
- 「よろしくお願いいたします」などの丁寧な締め文
お忙しいところ恐縮ですが、下記の通り出張伺いを提出いたします。
不在中の業務については〇〇係長に引き継いでおります。
ご確認のうえ、ご承認いただけますようお願い申し上げます。
承認を得るための書き方のコツ
承認されやすい出張伺いには「理由の明確さ」と「費用・行動の妥当性」が必要です。
上司が納得しやすい構成にするためには以下のポイントを押さえましょう。
- 出張の目的を一文で明確にする
- 必要性や期待される成果を添える
- 費用の内訳やコスト感を簡潔に書く
- 不在による支障とその対応策も記載
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| 出張に行ってきます。 | 〇〇社との業務提携に向けた商談のため、〇〇に出張いたします。 |
| 経費は適宜。 | 予算内訳:交通費¥10,000、宿泊費¥8,000、日当¥3,000 |
出張結果をまとめる復命書の重要性
出張が完了した後は、出張伺いの延長として「復命書(報告書)」を提出することが推奨されます。
復命書は承認者に対する責任ある報告であり、次の出張や業務判断にも活用される貴重な情報源です。
- 出張の目的と実際の行動の整合性を示す
- 成果や得られた情報を簡潔にまとめる
- 今後の提案やフォローアップ事項を記載
【出張目的】
株式会社〇〇との新規製品に関する技術打合せ
【実施内容】
2025年8月8日 13:00~15:00 同社開発担当者と製品仕様について協議
【得られた成果】
製品の量産化に向けたスケジュール確認およびサンプル提供の合意を得た
【今後の予定】
8月末までに詳細設計を提出、9月中旬に再打合せ予定
出張伺いから復命書までを一貫して丁寧に取り扱うことで、社内での信用力や承認スピードの向上にもつながります。
出張伺いに関連する書類の作成方法

出張を行う際には、事前の許可を得るための出張稟議書や伺い書の提出が必要です。
また、出張後には報告書や経費精算書の提出も求められます。
それぞれの書類の目的や記載すべき内容を理解し、正確に作成することが重要です。
出張稟議書の内容と記載項目
出張稟議書は、出張の目的や費用、日程などを記載して上司の承認を得るための文書です。
以下に記載項目の主な例を示します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出張者名 | 出張に行く社員の氏名 |
| 出張期間 | 出発日から帰社日まで |
| 出張先 | 訪問する企業・場所 |
| 目的 | 出張の主な目的(例:取引先との打ち合わせ) |
| 同行者 | 同行する社員がいる場合は記載 |
| 概算経費 | 交通費・宿泊費などの見積もり |
株式会社〇〇 経理部 部長 〇〇様
下記の通り出張を予定しておりますので、伺い申し上げます。
出張者:営業部 山田太郎
出張期間:2025年8月5日(火)~2025年8月6日(水)
出張先:株式会社△△(東京都〇〇区)
目的:新製品導入に関する商談
概算経費:30,000円(交通費・宿泊費含む)
ご確認の上、ご承認賜りますようお願い申し上げます。
出張後に必要な報告書の書き方
出張終了後には、出張先での業務内容や成果、今後の課題などをまとめた報告書を提出します。
以下のような構成で記載するとわかりやすくなります。
- 表題(例:〇月〇日出張報告書)
- 出張者氏名・所属
- 出張期間・出張先
- 出張の目的
- 活動内容・訪問先とのやりとり
- 得られた成果・所感
- 今後の対応・課題
表題:2025年8月5日~6日 出張報告書
氏名:営業部 山田太郎
出張先:株式会社△△(東京都〇〇区)
目的:新製品導入に関する商談
【概要】
株式会社△△との商談を行い、新製品〇〇の仕様や納期について協議を行いました。
先方より追加資料の要望があり、今週中に再送予定です。
【成果】
導入候補として前向きな反応をいただき、社内検討に進む見込みとなりました。
【課題と対応】
価格面での調整が必要であり、今後の見積り再提示を予定しております。
経費精算のための出張関連資料の整備
出張にかかった費用の精算には、正確な領収書と支出内容の整理が求められます。
以下の書類や情報を整備しておくとスムーズに精算できます。
- 交通費の領収書(新幹線・飛行機など)
- 宿泊費の領収書
- 日当や出張手当の対象日数
- 社内で指定された精算書フォームへの記入
- 交通費:新幹線往復 ¥14,000(領収書添付)
- 宿泊費:〇〇ホテル ¥8,000(領収書添付)
- 出張手当:2日×¥2,000=¥4,000
合計:¥26,000
これらの書類を正確に作成・提出することで、社内での手続きがスムーズに進行し、トラブルの防止にもつながります。
出張伺いに役立つリソースとツール
出張伺いの作成には、便利なテンプレートやツールを活用することで、ミスを減らし、作業効率を高めることができます。
以下では、無料で利用できるテンプレート集やオンラインサービス、文面作成のための支援ツールについて紹介します。
無料で使えるテンプレート集
出張伺い書のフォーマットは、企業や部署によって異なることがありますが、基本構成を押さえておけば汎用的に使えるテンプレートが多数存在します。
以下に主なテンプレートタイプを比較表でまとめました。
| テンプレート形式 | 特徴 | おすすめ用途 |
|---|---|---|
| Word(.docx) | 編集が容易で見た目を整えやすい | 紙提出や社内共有に最適 |
| Excel(.xlsx) | 費用や日程の計算が簡単 | 経費を含む申請書に便利 |
| PDF(.pdf) | 改変防止に適し、閲覧専用で配布しやすい | 申請内容の確定版提出用 |
- 総務省や各種自治体のビジネス支援ページにも、テンプレートが掲載されていることがあります。
- 無料テンプレートサイトでは、ビジネスカテゴリから「出張伺い書」で検索可能です。
出張伺い作成のためのオンラインリソース
オンラインには、書式例だけでなく、記載のポイントや注意点まで解説されたページが数多く存在します。
以下のようなリソースを活用することで、出張伺いの品質を高めることができます。
- ビジネス文書作成支援サイト:例文やフォーマットが豊富
- 企業法務関連ブログ:承認ルートや社内規程の整合性をチェックするために有用
- 業種別・職種別の文例集:営業、技術職などの業務目的別の出張理由を記載する際に参考になります
- 件名:出張伺い書(〇月〇日~〇月〇日)
- 出張者:〇〇部 山田太郎
- 期間:2025年8月20日(水)~8月21日(木)
- 目的:新規顧客開拓のための営業訪問
- 訪問先:株式会社〇〇(大阪市〇〇区)
- 経費:新幹線代・宿泊費・日当 合計見積30,000円
ビジネスメール作成ツールの活用法
出張伺いをメールで提出する場合、文章表現や敬語に自信がない場合は、AIやテンプレート機能を搭載したビジネスメール作成ツールの活用が有効です。
特に以下のような場面で役立ちます。
- 初めて伺いメールを作成する新人社員
- メールでの文面提出がルール化されている企業
- 複数上司に同時に提出する必要があるケース
- Microsoft CopilotやGoogle Workspaceの補助機能を使えば、自然な表現や誤字脱字チェックが可能です。
- 「メールテンプレート自動生成ツール」では、目的・宛先・内容を選ぶだけで完成度の高い文章が作成されます。
件名:出張伺いの件(2025年8月20日~8月21日)
〇〇部長
お疲れ様です。営業部の山田です。
下記の通り出張を予定しておりますので、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
出張先:株式会社〇〇(大阪市〇〇区)
出張日程:2025年8月20日(水)~8月21日(木)
目的:新規顧客開拓の営業訪問
同行者:なし
概算経費:30,000円(交通費・宿泊費)
ご承認いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
このようにリソースとツールを有効に活用することで、出張伺いの作成がスムーズになり、上司や総務部からの信頼性も高まります。